Googleのロゴが斬新なデザインに変わっていたので何かと思ったら、レーザーの発振に成功した日だそうです(1960年)。
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レーザー(Laser)ってなんなのか、実は意外と知られていません。小さいころは「殺人光線」などと悪者扱いかつ実現不可能なもののような言われ方をされていたように思います。
次第に現実に存在するものであることを知り、いったいどのような"光"なのか知りたくなりました。私が最初に調べ始めたのは小学校6年の時の夏休みの自由研究がきっかけでした(何でそんなものをとか変人扱いされたw)。きちんと説明できる大人は周りにいませんでしたので、百科事典や学校の図書室の本などを参考に自分で調べてみました。最初は意味不明な言葉の羅列としか思えませんでしたが(笑)。
高校生になったころ、自分でレーザーに関する専門書を買ってみました。やはり公式だらけで難解でしたが、さらに興味が増したのは確かです。
そういえば、Laserが略語(アクロニム)だということも知られていないようですね。
Laser :
Light
Amplification by
Stimulated
Emission of
Radiation
… 輻射の誘導放出による光の増幅
日本語にしても何のことだかさっぱり分かりませんって感じですが、要は通常の光とは発光原理が全く異なり、性質も異なるということです。
原理は...私にも分かりやすく説明することはできませんが、知っている範囲内で。。。以下、代表的な固体/気体レーザーの仕組みを。
レーザー発振器は、大まかにレーザー物質、ポンピング装置、光共振器からなります。レーザー物質はレーザー光を発振する物質で、固体(結晶など)、気体、液体などさまざまです。
ポンピング装置とはレーザー物質(原子)を高いエネルギー準位へ持ち上げるためのもので、強烈な光を発するフラッシュランプや高圧電流などが使われます。
光共振器の多くはレーザー物質の両端に平行に置かれた反射鏡です。通常の鏡ではなく、発振される光の波長に最適な反射率が得られる多層蒸着膜などが用いられます。またごくわずかですが凹面になっているものもあります。レーザー光を取り出すには、一方の鏡を半透過鏡(反射率を少し下げた鏡)にしたり、一方の鏡の中心に小さな穴を開けるなどの方法があります。
強い光などのエネルギーを与えるとある種の原子は高いエネルギー準位であるのに電子が多い状態(反転分布状態)になることがあります。しかしこの反転分布状態は長続きせず、すぐに元のエネルギー準位に戻ろうとします。元に戻るときには余分なエネルギーを光として放出しますが、これは自然放出といいます(一般的な光の正体)。
もし反転分布状態のときに放出する光と同じ波長の光、つまり別の原子が放出した光が与えられると余分なエネルギーはその光と同じ波長、同じ位相の光(輻射)となって放出されます(誘導放出)。その光が別の原子を励起し、同じ波長、同じ位相の光を放出し...を繰り返していきます。多数の原子から放出された個々の光はすべて同波長、同位相となり、この光を鏡で往復させることで方向がそろい、増幅されていきます。こうして波長や位相のそろったビームのような強い光が得られます。
レーザー光が一般的な光と決定的に違うのはこの「波長や位相がそろっている」という部分で、専門的には「コヒーレント光」とも言われます(完全なコヒーレント光ではありません)。波長や位相がそろっていると何が違うのかというと、「レンズで集光するとその焦点の直径は波長と同等」という特徴があります。太陽光では絶対にできない芸当です。光には直径が小さいと集束するエネルギーは10の何乗倍という強さになるという特性もあります。
最初に発振に成功したのは固体レーザーの一種、ルビー・レーザーです。レーザー物質にはわずかにクロムイオンを添加した棒状の人工ルビー結晶を用い、ポンピング装置にはキセノン・フラッシュ・ランプを用います。効率を高めるため、ヘリカル状のランプの中心に人工ルビー結晶を置き、さらにその周囲を内側を金などの金属でめっきした円筒で覆うものも考案されています。
なお、キセノン・フラッシュ・ランプは連続点灯できないため、出力されるレーザー光もパルス状になります。他のレーザーはほとんどが連続発振ですが、Qスイッチ法などにより比較的容易に高出力パルスを得ることも可能です。
現在ではさまざまな方式のレーザーが実用化されていますが、比較的構造が簡単で早くから一般的に使われるようになったのが気体レーザーの一種であるHe-Neレーザーです。真空放電管の中に低圧で封入されたヘリウムとネオンの混合気体に高圧放電して得られるもので、波長は632.8nmの赤色光(可視光)です。
実はこのHe-Neレーザー発振器、いわゆるネオン管と構造は同じです。実際発振中の放電管の中心軸付近は淡い赤紫色に光っていてまさにネオン管です。
放電管であるため出力(光の強度)が不安定でしたが、最近は電子的あるいは物理的な方法を使った安定化He-Neレーザーも実用化され、計測分野などで導入されつつあります。
民生用のレーザー応用製品としては初期のレーザーディスク(LD)プレイヤーが世界初と言ってもいいでしょう。パイオニアが発売した初号機「LD-1000」はHe-Neレーザー発振器を使っていましたので、本体が大きく重くなってしまい、発熱によるレーザー出力等の変動のため画像が安定するまで多少の時間を要しました。中身を見たことがありますが、赤く発光するレーザー発振器(放電管)から出たレーザー光は4回くらい反射鏡で反射されてピックアップに導かれていたと思います。ていうか、レーザー光はいったん空気中を通ります(笑)。
私が通っていた高校には実験用のHe-Neレーザー発振器がありました。長さ20cm程度の小型のものですが、消費電力が100W以上あったと記憶しています。
その後、日本人が原理を考案した半導体レーザー(レーザーダイオード)が実用化され、LDプレイヤーの小型化や低消費電力化、CDプレイヤーの実用化に貢献しました。のちのさらなる改良で小型・軽量・低消費電力・安価になり、レーザープリンターやDVDプレイヤー、MDやMOなどの光ディスク製品、バーコードスキャナーなど、非常に多くのレーザー応用製品が次々生み出され、今では電池駆動のマウスまで作れるようになったというわけです。
民生用以外では、医療用、金属加工や溶接などの工業分野、レーザー核融合などの研究分野、測量分野、そしてもちろん(?)軍用としても。
種類としては、超高出力が得られるYAGレーザーやNdガラスレーザー、FEL(自由電子レーザー)、化学レーザー(フッ素化重水素などの気体)なども実用化されています。
...などと偉そうに語ってしまいましたが、私はレーザーの専門家ではありません(^^;)。ただ単に興味があって知っているという程度で、難しい公式とか物理法則とかちんぷんかんです。
私が調べたのは1986年ごろが最後です。最近の技術ってもっと進歩しているはずですので、そろそろ新しい専門書が欲しくなりました。物色してみようっと。
[追記:2008年5月17日(土)] 一部文章を修正/追加。