2011年07月21日 Thu

最後のスペースシャトル、帰還

 ついに終わってしまいましたねぇ。。。

 1981年4月12日、初打ち上げの際にテレビで生中継された映像を見て子どもながらに感動したものでした。それ以前のロケット打ち上げなんて物心つく前で全く記憶になかったため、打ち上げ中継自体が生まれて初めての体験でした。

 しかし、きょう生中継したのは日本テレビだけ(しかも30秒程度)って....寂しいかぎりですねぇ。。。

 というわけで、スペースシャトル計画30年の記録を軽くまとめてみました。
機体飛行回数総飛行時間(メインギア接地まで)備考
OV-098 Pathfinder (パスファインダー)--地上試験機
OV-099 Challenger (チャレンジャー)10回1,495時間56分22秒
 ( 62日 7時間56分22秒)
実用機2号機、元は地上試験機(STA-099)
OV-100 ---予備機、建造途中で中止され、実用機の保守用に徴用
OV-101 Enterprise (エンタープライズ)--大気圏内滑空試験機
OV-102 Columbia (コロンビア)28回7,214時間 8分58秒
 (300日 14時間 8分58秒)
実用機1号機、2001年に改修実施
OV-103 Discovery (ディスカヴァリー)39回8,756時間25分22秒
 (364日 20時間25分22秒)
実用機3号機
OV-104 Atlantis (アトランティス)33回7,356時間59分06秒
 (306日 12時間59分33秒)
実用機4号機、2000年に大規模改修実施
OV-105 Endeavour (エンデヴァー)25回7,105時間21分29秒
 (296日 1時間21分29秒)
実用機5号機、チャレンジャー事故を受けての追加建造

着陸地回数備考
John F. Kennedy Space Center79回Shuttle Landing Facility
Edwards Air Force Base53回複数の滑走路を使用
White Sands Missile Range1回Northrup Strip(Runway 17)

フライトの種類回数備考
総フライト数/ミッション数135回STS-1〜4はシャトルシステム関連テストフライト
ISS組み立てミッション 37回スペースシャトル以外:4回(ロシア/今後1回予定)
衛星放出ミッション27回軌道投入失敗は5回(のちに回収・修理後に再投入成功は2回)
HST保守ミッション5回 
スペースラブミッション11回 
微小重力実験ミッション11回 
DODミッション10回軍事衛星放出は9回
シャトル/ミールドッキングミッション9回 
中止ミッション6回 

ミッション番号は初飛行〜9回目の飛行までが STS-1〜9 と通算飛行回数を表わしていましたが、10回目〜25回目(チャレンジャー事故)までは STS-41B〜51L と変更されました。これは「STS-41B」を例にとると「4」が1984会計年度、「1」が打ち上げ場所(ジョン F.ケネディ宇宙センター)、「B」はスケジュール番号を意味します。チャレンジャー事故後の再開時(26回目以降)には再び STS-26〜 と通算番号へ戻されています。また、ミッション番号と打ち上げ順とは必ずしも一致していません。

 ちなみに、OV-101 エンタープライズ の当初の名前は「Constitution (コンスティテューション)」でしたが、『スタートレック』ファンによる40万通にもおよぶ嘆願によって「エンタープライズ」に決まったという経緯があります。改修して実用機とする計画もあったそうですが、事故が重なったことなどから中止され、結局宇宙へは行けませんでしたけどね。

 いろいろありましたが、スペースシャトルのおかげで世界各国の宇宙開発が加速したことだけは間違いないと思います。30年間本当にお疲れ様でした。


posted by Raptor03 at 23:48 | Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス

2010年04月24日 Sat

ハッブル宇宙望遠鏡、20周年

Google - トップページ(2010-04-24 - HST)
 いやぁ、なんだかんだで20年もたったんですね。人工衛星を20年以上使うというのは実は驚くべきことなんですけどね。一般的には全く話題にならずに忘れ去られているように思います。なんかちょっと悲しい。

 HST(Hubble Space Telescope:ハッブル宇宙望遠鏡)は、1990年4月24日(EDT)に打ち上げられたスペースシャトルのミッション(STS-31/OV-103 ディスカヴァリー)においてシャトルのSRMS(いわゆるロボットアーム)を使って高度約570kmの軌道へ投入されました(軌道投入は打ち上げの翌日の4月25日)。
 全長13.1m、本体直径約4.3mのほぼ円筒形で、両わきに2枚の太陽電池パドルを装備、主鏡の直径約2.4m、副鏡の直径約0.3m、質量約11.4トンで、当初の設計寿命は約15年でした。

 当初は問題なく稼働しているように思われましたが、実際に撮影してみると...超ボケボケ(解像度の大幅な不足)の画像しか得られませんでした。原因は主鏡のゆがみ・たわみを検出する装置の取り付け不具合で、地上からソフトウェアを書き換えても設計どおりの性能を発揮できませんでした。

 すったもんだの末(本当にいろいろあったようですw)、約3年半後の1993年12月2日に打ち上げられたスペースシャトルのミッション(STS-61/OV-105 エンデヴァー)で「世界初の軌道上での衛星修理」が実施されました。
  1. SRMSによる衛星の捕獲とペイロード・ベイへの収納
  2. ジャイロスコープの交換(1日目)
  3. 太陽電池パドルの交換(2日目)
  4. 主鏡の補修(3日目)
  5. COSTAR(焦点ずれを補正する装置)の追加とWFPC2(広視野惑星カメラ2)への換装(4日目)
  6. PDMの交換(5日目)
 などを行ない、再放出/軌道投入も無事成功しました。

 5. のCOSTARは当初設計になかった装置で、光学的な補正を行なうためにカメラ(大型CCDセンサー)の前に取り付けられました。装着するすき間を作るのにWFPC2の設計変更(小型化)とスペクトロメーターの取り外しが行なわれています(いわゆる苦渋の選択)。

 このときの軌道上での作業は長時間の船外活動など困難を極め、35時間28分にも及びました。その結果、当初の予定をはるかに上回る高性能を獲得することに成功しています。

 その後のHSTによる観測では天文学の歴史を塗り替えるほどの非常に多大な成果を挙げており、推測でしかなかったさまざまな理論の裏付けがなされ、宇宙論の飛躍的な進化につながっています。地上からの観測では得られなかった超深宇宙の精密で鮮明な光学写真(着色されています)なども多数公開され、「芸術作品のよう」などと話題を呼びました。

 HSTは前述の修理を含め、計5回の修理ミッションでNICMOS(近赤外カメラおよび多天体分光計)やACS(新型メインカメラ)の追加などによりさらなる性能・機能向上を果たしています。
 一時は4回目(2002年3月)の修理を最後に2010年ごろには役目を終える予定と発表されましたが、2009年5月に5回目(最後)の"延命措置"(故障したACSの修理、COSTARの取り外し、WFC3への換装)が実現し、2013年ごろまでは正常に稼働できる見込みとなりました。

 役目を終えた後のHSTは地球に持ち帰って保存展示されるという話もありましたが、スペースシャトルの退役(後継機は使い捨てロケットのような形式になる予定)により回収手段がなくなってしまうため、放棄、つまり大気圏への突入措置となる公算が大きくなっているようです。もったいないですけどね。



 ちなみに、スペースシャトルでの「人工衛星のお持ち帰り」は二度実施されていたりします。
 一度目は1984年11月に打ち上げられたSTS-51A(通算14回目)で、2基の衛星を放出したあと、別の2基の衛星回収をやってのけました。回収された衛星はSTS-41B(通算10回目)で軌道投入を行なったものの、軌道投入に使用した装置(PAM-D)の不具合で所定の軌道に乗らなかったもので(当該ミッションはその他も失敗を連発w)、修理後は別のロケットで打ち上げて軌道投入に成功しています。

 二度目は1993年6月に打ち上げられたSTS-57(通算56回目)で、1992年7月に打ち上げられたSTS-46(通算49回目)で軌道投入されていたヨーロッパの科学実験・観測衛星「EURECA」を回収し、観測データなどと共に持ち帰っています。ただ、この"全部お持ち帰り方式"は非常にコストがかかるため、現在ではデータや観測機器の一部のみを再突入させて回収する方式が主流となっています。

 なお、「Spartan」と呼ばれる観測機器の放出/回収は何度となく行なわれています(一部で人工衛星とされていますが、厳密には違うそうです)。



 HSTの後継機とも言える「JWST(James Webb Space Telescope:ジェイムズ・ウェブ宇宙望遠鏡)」がほぼ完成しており、2013年の打ち上げ予定です。JWSTはHSTとは違って約150万kmも離れた地点に置かれます。
 18枚の六角形セグメント鏡を組み合わせた直径6.5mの主鏡を持つカセグレン式反射望遠鏡がむき出しの状態で搭載されており、本体ともども非常に特異な外観となっています。主鏡も本体も折りたたんだような状態でロケットに搭載、軌道投入後に展開されます。
 ただし、JWSTは赤外線領域のみの観測で、他の領域は別の宇宙望遠鏡が担う予定です。

>>>HubbleSite
>>>Space Telescope Science Institute [HSTなどの宇宙望遠鏡を運用するための機関]
>>>Hubble Space Telescope
>>>Celebrating the 20th Anniversary of the Hubble Space Telescope
>>>JWST(James Webb Space Telescope)
posted by Raptor03 at 17:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | サイエンス